株主の皆さま、新年あけましておめでとうございます。
私たちNEW ARTグループは、既に発表しました通り、香港で和牛を中心に業界No.1の食肉等を販売するWah Full Group Limited社の子会社化(グループ会社化)に向けて、同社株主と基本合意を取り交わしました。ここで重要なことは、当該企業の子会社化はそれ自体決してゴールではなく、私たちが構想する『成功企業パートナー連合』の結成に向けた大きな一歩であり、食品業界へ初めて参入したことを意味します。
これから、この『成功企業パートナー連合』の構想について、ご説明したいと思います。
今回のWah Full社に限らず、私は美術品を売り買いしている関係上、国内外の多くの企業経営者として誰もが認める成功者と言われる人たちと交流し、お付き合いが有ります。彼らは強い想いで事業を立ち上げ、一つの企業として経営を行っている紛れもない時代の成功者ですが、その一方で必ず『悩み』も抱えています。その多くは『自分が立ち上げた自分自身の分身と言うべきこの会社を未来永劫永続的に発展させるにはどうしたら良いか』というものです。後継者の問題や景気の動向、社会情勢の変化が各業界にもたらす大きな変化の潮流への対応など、様々な問題が有る中で企業を安定して発展させ続けることは決して容易ではありません。私自身も自ら事業を興し、日々悩みを抱えながら現在まで経営に携わってきた経営者の一人として、その悩みは痛いほどよく分かります。
その大きな悩みへの答えが、『多くの成功企業の経営者が連帯する』ことにあると私たちは考えます。『単一の業態』や『画一的な集団』は、短期的には効率的であるように見える反面、不測の事態に遭うと案外脆いものです。私たちNEW ARTグループは、ブライダルジュエリー事業を中心にアート事業やオークション事業、軽井沢におけるリゾート開発事業など、多様な業態に取り組んでいますが、これでも未だ充分とは言えません。先に述べたような大きな課題を力強く乗り越えるには、今より更に多様な国々の国境を乗り越えて、業界・地域のNo.1企業同士が手を取り合い、知恵を出し合いながら成長を目指して行く必要があります。今回発表した香港でNo.1のWah Full社の子会社化(グループ会社化)は、まさしく私たちの目指す『成功企業パートナー連合』へのスタートであり第一歩なのです。
また『成功企業パートナー連合』にはもう一つ、重要なポイントがあります。今や経済界において『M&A』は日常的になり、数多くの投資ファンドやアドバイザリー会社といった『M&Aの専門家』が日々様々な企業の売り買いやその仲介に奔走しています。しかしながら、これだけM&Aが一般的になっている一方で、必ずしもそれらの案件が『成功している』とは言い難い現状があると考えています。
企業とは、決算書類や株価のような『数字』ではありません。そこには創業者の強い想い・理念があり、それを支える沢山の従業員の日々の努力、そこに関わるお客さまの支持があってはじめて成り立っているものです。『企業価値の評価』や『既存事業とのシナジー効果』、M&Aの場面でしばしば登場するこれらの要素ももちろん無視できませんが、それ以前に『人と人の結びつき』や『理念への共感』が無ければ、ファンドやアドバイザリーといった専門家がどれだけ優秀であっても企業同士を結び付けることはできるはずが無いのです。
食品の総合商社として、九州の農産物、畜産物、海産物をアジアを中心とした世界マーケットでNo.1企業になるという今回のWah Full社との合意に至るまで、私自身が何度も何度も香港に足を運び、先方の経営者たちと直接の折衝を重ねました。今では『買収相手』というより『10年来の友人』といったほうが相応しいかも知れません。彼らの夢、事業構想や業績に魅力を感じたのも事実ですが、直接のやり取りを重ねたことで互いの想いや理念に共感し合い、一緒に夢を見ようと一致したことが、今回の合意に至った最大のポイントだと考えています。
ここまで述べてきました通り、私たちが提唱する『成功企業パートナー連合』とは、一社一社の力には自ずと限界がある国内・海外の成功者と言われる中小企業の経営者が、共通した理念のもとで手を取り合い、互いに助け合いながら永続的に成長し、ひいては経済を活性化することで社会に貢献して行こうという『壮大な試み』です。今回のWah Full社を皮切りに、複数の企業群を私たちのグループに加えて行きたいと考えていますが、単なる経済合理性だけの統合とは異なり、『人と人のつながり』や『理念への共感』を核とするこの連合体は、限り無い可能性を秘めた企業体となり、今後の日本および世界経済の発展に寄与する新たな企業連帯の取組みとして注目されるものになると、私たちは信じて取り組んでまいります。
最後になりましたが、この2024年が株主の皆さまに大きな喜びをもたらす1年となりますことを、心よりお祈りいたします。
株式会社NEW ART HOLDINGS
代表取締役会長 白石 幸生