『ホワイトストーンギャラリー』は日本国内のほか中国、韓国、シンガポールの各主要都市に画廊を保有しているほか、タイやベトナム、インドネシア、更にはインド・中東地域まで含むアジア全域において、幅広く事業を展開しています。そのような経緯から、現在海外において2件の友好的なM&A案件が進行中です。
1件目は現地にて20年以上、“和牛”を中心に食肉の輸入・卸売りを行っている『A社(円ベース年商約80億円/経常利益率約9%)』です。私たちNEW ARTグループが“和牛”?と、不思議に思われる方もいらっしゃるかも知れません。しかし、私たちはこう考えます。“和牛”は、牛肉を食べるようになって僅か150年余りの日本人が知恵と努力で作り上げた、世界に誇れる“食文化”です。様々なアート作品や作家を守り育て、広く世間に伝えてきた私たちNEW ARTグループは、この“日本の食文化”についてもまた、世界の国々に正しく伝えて行きたいと考えています。行く行くは、私の故郷である熊本および九州地方の海産物や農産物なども加え、より多くの優れた食文化を世に広める役割を果たしたいと私たちは考えています。
2件目は現地で30年以上、運送・倉庫業を営む『B社(円ベース年商約50億円/経常利益率約9%)』です。私たちのグループ会社であるNEW ARTエストウェストオークションズ、またホワイトストーンギャラリーでも多数のアート作品を取り扱っています。それらの作品が一堂に会するアートフェアや大規模なオークションなどのイベントを、前後に発生する物流や関税の問題まで考えてスムーズに実施するためには、大規模な倉庫スペースを保有することが極めて重要です。更に現地のイベント運営企業と提携することで、殺風景な倉庫も『非日常の体験を提供するイベント空間』として生まれ変わるでしょう。
上記のような海外企業とのM&Aは、私たちNEW ARTグループのみならず彼らにとっても新たな成長のための手段であり、正に『Win-Win』の関係にあると言えます。現在デューディリジェンスなどの手続きを行っており、これから最終的な調整の局面に入って参ります。
また、私たちは企業を『買う』だけではありません。現在、グループ内で『不採算』となってしまっている事業については、『健全化した上で売る』という選択肢も視野に、経営を進めて参ります。特に海外企業にとって、日本の『モノづくり』や『ホスピタリティ』におけるブランド力は極めて魅力的であり、そこでもまた『Win-Win』の関係を築くことができるでしょう。
なお今年度の業績について言えば、この第2四半期および第3四半期はこうした不採算事業の抜本的な見直しを行うため、売上や利益が前年より落ち込みます。しかし、逆に第4四半期はM&Aの効果により大幅な増収増益に転じ、通期の業績目標を大きく上回る見込みです。
友好的なM&Aは私たちが成長して行くための有効な手段であり、現在日本国内でも複数の候補を検討中です。今後も国内外の案件を積極的に進めて行きますが、これまでにも述べた通り『売上重視から利益重視の経営』を目指す観点から『経常利益率10%』を一つの目安として、小さくても中身のしっかりした企業をNEW ARTグループに迎えて行きたいと考えています。また、M&Aを行う過程では株式交換などの手法も検討しますが、一方で安定株主の確保にも配慮して進めて行きます。
今年度から来年度にかけて、友好的M&AによりNEW ARTグループに加わる企業群を合計すると『売上高150~200億円、経常利益15億円~20億円』の規模になる見込みです。それに伴い、私たちNEW ARTグループは『売上高300~400億円、経常利益45~55億円』を最低でも計上できる企業グループに成長して行きますので、どうぞご期待ください。
株式会社NEW ART HOLDINGS
代表取締役会長 白石 幸生